生きているんじゃない、生かされているんだ③

そうして迎えた予約当日

三万円が無駄にならないように、と

聞きたいことを前日の夜からノートに書きだすクソ真面目が

見事に発揮されていた。


決められた時間にこちらから電話をかけるシステム。

準備を整え、貧乏6畳一間の極寒空間にて

小さな机の前に10分前から正座をし、携帯電話を見つめる。

真面目か。


その10分の長かったこと。

散々怪しいとか言っておきながら

かなり真剣に取り組もうとしている自分が居た。


時間だ!


携帯番号を押す手がかすかに震える。

初恋の電話かよ。あ、昭和丸出し。


呼び出し音が鳴るかならないか

その瞬間に関西のおばちゃんが元気に電話口に登場した。

あ、あのぉ、、挨拶もままならぬまま

おばちゃんは迷いなく軽やかに言い放った。


「あーなた、彼と別れなさい!!!」


ぇえええええええええー!!!!!!!!

散々なことを言われた上に、用意していたフラのことについては

何一つ明確な答えは無く

彼と別れてあなたが幸せになればそちらも上手くいく、ですって。


あーさようなら三万円。


電話を切りながら、心の奥でそう呟いたね。





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